2020年11月1日基督聖協団目黒教会 牧師 横山聖司

「お金で買えないもの」  Ⅱコリント1:8~10

人生問題は、お金で解決することが多い。フランシスコ・ベーコンの言葉である。「金は最善の召使いでもあるが、最悪の主人でもある」。私たち庶民の悩み事のうち80%はお金で解決するだろうし、95%までは金でほぼ解決する。いつでも、どこでも、なんにでも、こんなに役立つ召使いはそうざらにいるものではない。しかし…である。こいつがとたんに召使いから主人となると、とたんに過酷になる。私たちの理想も恋も正義も、ときには生命、信仰さえも奪って命令をくだす。サラリーマンを不安がらせ、社長をノイローゼに陥れ、恋の仲をさき、よこしまな考えをそそのかし、教会にだって混乱をもたらす。その主人は多くの場合、金である。演劇用語で、役者が舞台に出る場面を「出番」と言う。また、一つの演目の最初から最後までずっーと舞台に出演していることを「出突っぱり」と言う。お金は出番の多い役者だが、これが主人となり、出突っぱりになると、人生劇は修羅の巷となる。お金はあくまで私の召使いであり、これの出番を間違わないことが肝要だ。人はパンだけで生きるのではない。パウロには凄絶な人生のひと幕があった。「私たちは、非常に激しい、耐えられないほどの圧迫を受け、ついにいのちさえも危くなり、ほんとうに、自分の心の中で死を覚悟しました。これは、もはや自分自身を頼まず、死者をよみがえらせてくださる神により頼む者となるためでした」(Ⅱコリント1:8~9)。まことに辛い人生のひと幕であり、ここは「神の出る幕」だとパウロは考えた。生きるうえでなくてはならないもの、それは心の柔軟さ、心のしなやかさである。お金で解決するのであれば、お金に頼ってよろしい。人間を登場させ、それでなんとかなるのであれば、人に助けを求めればよい。けれども、お金で買えないものもある。人間を頼っても解決しないケースもある。そのとき、心の柔軟さ、心のしなやかさが、「これは、もはや自分自身を頼まず、死者をよみがえらせてくださる神により頼む者となるためでした」(Ⅱコリント1:9)、心の柔軟さ、しなやかさが、神の出る幕…あなたの人生に、愛の神、救いの神が登場する出番がやってくる。人生には色々な幕、様々な場面があり、それぞれの幕に、それぞれ相応しい登場人物が出番を持つこと、これ、人生劇を有意義で充実したものにする秘訣である。

カテゴリー: 礼拝メッセージ

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