2019年8月25日

「恵みの伏線」 申命記22:13~21

基督聖協団目黒教会 牧師 横山聖司

預言者ホセアに神のことばがくだった。「行って、姦淫の女をめとり、姦淫の子らを引き取れ。この国は主を見捨てて、はなはだしい淫行にふけっているからだ」(ホセア1:2)。ホセアの妻ゴメルは、夫を裏切り、他の男と密会を重ねていた。妻ゴメルが産んだ三人の子も、誰が本当の父親なのかわからない。日本で著名な芸能人夫婦が、長男をめぐる熾烈な法廷闘争の末、「親子関係なし」の判決が下された。DNA鑑定の結果、父と子の親子関係の確率は0%だったと言う。昔のハリウッド映画に〈密会〉があった。鉱山で働く男とその妻との間に、もう一人の流れ者の鉱夫がやって来る三角関係の物語である。女は夫の前では貞淑だが、情夫の前では自由奔放である。ゴメルは「耳輪や飾りを身につけて、恋人たちを慕って行き…」(2:13)、この道の行きつく先は「いばらで彼女の道に垣を立て、彼女が通い路を見いださないように、石垣を立てよう」(2:6)、行きづまりの道である。まことに愚かな女心である。〝愚かな女心〟と言えば、スーザン・ヘイワード主演の〈愚かなり我が心〉があったが、主題曲の歌詞の中に〝愚かな心に警戒せよ〟との戒めのリフレインがある。こんな生き方がそうそう上手くいくはずがない。ゴメルは情夫から見捨てられ、愚かな我が心を呪いながら、奴隷市場へ売られていく。このとき、「彼女は言う。『私は行って、初めの夫に戻ろう。あの時は、今よりも私はしあわせだったから』」(2:7)と、初めてそう思ったと言う。奴隷市場とは、豊洲市場のマグロの競り市を思い浮かべればそれでよろしい。ゴメルに値がつけられていく。ゴメルの耳に、懐かしく、甘い声が響く。夫ホセアの声だ。「主は私に仰せられた。『再び行って、夫に愛されていながら姦通している女を愛せよ。ちょうど、ほかの神々に向かい、干しぶどうの菓子を愛しているイスラエルの人々を主が愛しておられるように。』そこで、私は銀十五シェケルと大麦一ホメル半で彼女を買い取った。私は彼女に言った。『これから長く、私のところにとどまって、もう姦淫をしたり、ほかの男と通じたりしてはならない。私も、あなたにそうしよう』」(3:1~3)。

ホセア書のメッセージは、神に背いたイスラエルを、神はなおも愛しておられる。預言者ホセアはこれを証するため、家庭の悲劇を体験し、これを証の素材としてささげた。ホセアの妻は夫を裏切った。夫ホセアは、この家庭の悲劇を克服することで、イスラエルに対する神のみこころを証したのだ。

カテゴリー: 礼拝メッセージ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です