2018年10月7日
基督聖協団目黒教会 牧師 横山聖司
「旅立ちの時」  出エジプト2:23~25
イスラエル12部族のひとつ、レビの家系から男の子が生まれた。イスラエル民族を、奴隷の地エジプトから、約束の地カナンへと導くモーセである。「モーセがおとなになったとき、彼は同胞のところへ出て行き、その苦役を見た」(出エジプト2:11)。
エジプトの苦役のもとでは、根源的に、生き方そのものを変えるのは極端に難しい。私たちの人生そのものが、エジプトの苦役にたとえられる由縁である。心の中に沈む、変えようとしても変えることの出来ない運命のようなもの。よどんだ澱のようなムード。だが、イスラエル民族は、もっと良い人生を見つけ、ここから旅立たなければならない。それが神のみこころだ。彼らは、ある時ははっきりと、ある時はおぼろげに、その可能性を信じ、ここエジプトから旅立とうとしている。未来に向けての展望が開けているかどうかが大切だ。
「イスラエル人は労役にうめき、わめいた。彼らの労役の叫びは神に届いた。神は彼らの嘆きを聞かれ、アブラハム、イサク、ヤコブとの契約を思い起こされた。神はイスラエル人をご覧になった。神はみこころを留められた」(出エジプト2:23~25)。神は、私たちのうめきや、わめきを「考え違い」や「思い違いだ」として、無視しようとはされなかった。彼らのうめきや叫びを、「不信仰」として退けようともされなかった。神は、彼らのうめきや叫びに、意義を認めて下さった。これにより神のみこころの中に、ひとつの動きが始まった。
出エジプト記2章24節「アブラハム、イサク、ヤコブとの契約を思い起こされた」とは、具体的に何の意味か?創世記28章で契約の内容を確認できる。「わたしはあなたの父アブラハムの神、イサクの神、主である。わたしはあなたが横たわっているこの地を、あなたとあなたの子孫とに与える。…見よ。わたしはあなたとともにあり、あなたがどこへ行っても、あなたを守り、あなたをこの地に連れ戻そう。わたしは、あなたに約束したことを成し遂げるまで、決してあなたを捨てない」(創世記28:13,15)。
神は今、この約束を思い起こしておられる。苦しみと嘆きのエジプトの地は、一時的、過渡的な住居であり、あなたはもっと良い人生を見つけて、ここから旅立たなければならない。表面に見える人生の現実に厳しさがあったとしても、未来に向けての展望は開かれている。「あなたに約束したことを成し遂げるまで、決してあなたを捨てない」(創世記28:15)。

カテゴリー: 礼拝メッセージ

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