2023年7月9日 基督聖協団目黒教会 牧師 さおり
「神の知恵」ローマ11:1~4
教会を迫害し、イエスに敵対していた生粋のユダヤ人であるパウロの生涯は、神がイスラエルの残りの者を用いて、神の栄光を現わすことを証明している。パウロはエリヤの箇所を引用して、神の選びと召命が変わらないことを証しする。エリヤが生きた時代は、イスラエルが二つに分裂し、神を捨て去った時代だ。特に北王国イスラエルでは、ベテルとダンに金の子牛が据えられ、民はこれを礼拝した。アハブ王は妻イゼベルにそそのかされ、バアルの神を拝み、神殿を建てた。イゼベルは、神の預言者たちを弾圧し殺した。神はエリヤを用いて、御自身こそ真の神であることをお示しになったが、イゼベルはエリヤを激しく憎み、報復を誓う。エリヤは追っ手から逃れ、自分の死を願った。「私は万群の神、主に熱心に仕えました。しかし、イスラエルの子らはあなたとの契約を捨て、あなたの祭壇を壊し、あなたの預言者たちを剣で殺しました。ただ私だけが残りましたが、彼らは私のいのちを取ろうと狙っています。」同胞イスラエルの未来に対する絶望と無力感が、エリヤを覆った。しかし神は、イスラエルの中にバアルに膝をつかない7千人がいるとエリヤに告げる。神はご自分に仕える残りの者を用いられる。神への背信のために北イスラエルはアッシリヤ帝国に滅ぼされ、南ユダは新バビロニア帝国によって滅ぼされた。エレミヤは、捕囚となることが神の命令であると民に告げる。(エレミヤ29:11)「わたし自身、あなたがたのためにたてている計画をよく知っている―主のことば。―それはわざわいではなく平安を与える計画であり、あなたがたに将来と希望を与えるためのものだ。』捕囚となったイスラエルの民の中に、ダニエル、ハナヌヤ、ミシャエル、アザルヤがいた。神の知恵によって満たされた彼らは、高い位を与えられたが、神の教えを守り、神に背くどのような命令にも屈しなかった。そのことが王の逆鱗に触れ、いのちを奪われそうになる。神は、御自身をおそれ、従う彼らを救い出された。(ダニエル3:28~29)「ネブカデネザルは言った。『ほむべきかな、シャデラク、メシャク、アベデ・ネゴの神。神は御使いを送って、このしもべたちを救い出された。王の命令に背いて、自分たちのからだを差し出しても神に信頼し、自分たちの神のほかはどんな神にも仕えず、また拝まないこの者たちを。それゆえ、私は命令する。諸民族、諸国民、諸言語の者のうち、シャデラク、メシャク、アベデ・ネゴの神に対して不敬なことを口にする者はだれでも、八つ裂きにされ、その家はごみの山とされる。このように救い出すことのできる神は、ほかにないからだ。』国を滅ぼされ、捕虜として敵国に引いて行かれることは、わざわいだ。しかし、神には神のご計画がある。イスラエルの背信の罪の当然の報いとして訪れた国の滅亡だが、国を失っても大帝国の中で、神は、イスラエル民族を存続させた。神は捕囚となった残りの者を用いて神の大いなる御名を地の上に響き渡らせた。人間の弱さをも逆手にとる神の知恵は、決して神の御名を地に落とすことはない。神は、このイスラエルの中から救い主をおこされた。頑なな一部のイスラエルによって救い主は十字架で殺された。「神のひとり子を殺す」というイスラエルの大罪をも、神は、救いを万人に与えるという恵にかえてしまわれた。神は、イスラエルを知っておられた。その罪深さも、失敗するであろうことも。神は私たちの弱さも、失敗するであろうこともご存知だ。神は、私たちの人生を用いられる。全てを益と変え、神の栄光を現わされる。

カテゴリー: 礼拝メッセージ

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