2023年6月25日 基督聖協団目黒教会 牧師 横山聖司
「キリストの国」マタイ5:3
古代バビロニアは占星術発祥の地だ。人の定めは揺るぎなく定められており、詳細は全て星の運行の中に記されている。また、夢占いも盛んであった。
トロイアの国に女預言者カッサンドラが生まれた。彼女に預言の能力を与えたのはアポロンであった。女は美しく、一目惚れをアポロンは“もし自分の愛を受け入れるなら、預言の能力を与えよう”と言った。カッサンドラは預言の能力を得、自分とアポロンの将来を覗き見る。はなはだよろしくない。愛の糸はもつれ、女は不幸になるばかり。こんな男に身を任せられるものかと逃げ出した。アポロンは怒り狂ったが、一度与えた能力を奪い返すわけにはいかない。それがオリンポスの山のルールだった。仕方なくアポロンは、世の人々がカッサンドラの預言を信じないようにと新しいルールを申請し、承認された。以後、彼女の正確な預言に誰も取り合わない。かくてトロイアの国では預言と宿命とが何の関係もなく共存することとなる。預言に対して何の対策も立てず、運命は予定通りのコースを進む。預言を信じて、定めを変えることがない。
ある夜、バビロン帝国の王は夢を見た。目覚めた王は、預言者ダニエルを王宮に招く。「王よ。不運でございます」「しかと違いないか」「おそれながら…」「大王よ。夢の中の大きな木、地の果てから望めるほどの大樹に神は王をお育てになりました。だが、あなたの運命は帝国を負われ、野に彷徨い、露に濡れ野宿なさる時が来る。どうか神の御前におごりを戒め、貧しき者を顧みくださいませ」。
ダニエルは先にも王の夢を解いた。「王は夢の中で巨大な像をご覧になった。頭は純金、胸は銀、腹部は青銅、膝は鉄…」ダニエルの説き明かしによれば、純金の頭はバビロン帝国、銀の胸はペルシャ帝国、青銅の腹部はギリシャ帝国、轍の膝はローマ帝国…」。巨大な像はうつろい変わる人類史の興亡、勝者必衰の理であった。
一つの国が世界の頂点に立つ。20世紀はアメリカ。順次遡り、イギリス、フランス、スペイン、オランダ、ローマ、ギリシャ、ペルシャ、バビロン。
神の御前におごりを戒め、貧しき者を顧みるなら、キリストの国が、キリストの支配があなたの人生にやって来る。

カテゴリー: 礼拝メッセージ

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