2022年09月25日基督聖協団目黒教会 牧師 横山聖司
「いさめる友」マタイ14:3~12
そのころ奇怪な事件が王宮内で起きていた。ヘロデ王の愛人ヘロデアは、手を打つべき時が来たと心を決めた。(放っておいたら、やられる。あの荒野そだちの狂人に…)。ヨハネは二人の不倫を訴え牢につながれていた。すぐに殺さなかったのは「ヘロデはヨハネを殺したかったが、群衆を恐れた。というのは、彼らはヨハネを預言者と認めていたからである」(14:5)。権力者は世論を恐れた。前オリンピック組織委員会会長が世論の力で辞任に追い込まれた。「女性が入った理事会は時間がかかる。誰かひとりが手を挙げると自分も言わなきゃと思うんだろうね」。その人柄を知る人は「しょうがないんじゃないの。だって総理在任中、総選挙の際『無党派層は投票日に寝てしまってくれればいい』と言った人ですからと涼しい顔。たまたま王は誕生日を迎えようとしていた。ヘロデアの娘サロメの舞が披露される。ヨセフスのユダヤ戦記によれば「乙女サロメは美しく官能の踊りを見事に舞った。王は『褒美をつかわす。何なりと言え』と約束した。母は娘を呼び、何事かを耳にささやき『では所望いたします。ヨハネの首を皿に盛ってお与え下さいませ』」。こうして旧約最後の預言者、新約の主の道を整える先駆者は祝宴の供えものとされ死んでいった。マルコによれば、誕生会の客人は「高官、将校、ガリラヤのおもだった人たち」であり、強い発言力を持つ彼らがロイヤルファミリーを前に押し黙ってしまった。誰ひとり、王や王妃、サロメをいさめる者はいなかった。どれほど沢山の人とのつながりがあっても、いさめる友のいない王は哀れであった。「女性が入った理事会は時間がかかる」。あの発言に対しても、理事のメンバーは一様に押し黙ってしまった。常識的に考え元総理をいさめるなどできないことである。だが結果として、いさめる友人がいない会長は哀れであった。「異議あり!此度の結婚、はなはだ不当なり!」と王をいさめたヨハネ。それが神に遣わされた務めであった。

カテゴリー: 礼拝メッセージ

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