2019年3月3日
「詐欺師」  ヨハネ8:44
基督聖協団目黒教会 牧師 横山聖司
アハブ王の宮殿のすぐそばに、ナボテが所有するブドウ畑があった。アハブ王は、そのブドウ畑が欲しかった。宮殿に隣接していたからである。
そう言えば、警視庁捜査二課は、品川区の土地取引をめぐり、積水ハウスが63億円の詐欺被害にあったと発表した。地面師グループの仕業である。所有者になりすました羽毛田は、権利書のカラーコピーを見せるだけで原本を示さず、物件の住所や誕生日の日にちを間違えたという。積水ハウスは、なぜこんな筋の悪い話に引っかかったのか?背景には、積水ハウスの会長、和田氏の長期独裁があったらしい。和田氏の邸宅は、事件の舞台となった五反田近くにある。その和田氏のお膝元で、大きな土地取引をライバルにさらわれれば、会長の怒りに触れ、左遷されたりの懲罰人事は必至。保身に走った担当社員らは、こうして怪しげな商談にのめり込んでいった。
ここで、独裁者、王妃イゼベルの登場である。「あなたは王ではありませんか。わずかな土地ごときで、なにを手こずっておられるのですか。ナボテのブドウ畑など、簡単にあなたのものにして差し上げましょう」。イゼベルは、冤罪チームを組織し、ナボテに無実の罪を着せ、処刑した。独裁者の存在、いつの時代も、事件はこうして起きるものなのだろう。
このイゼベルという女はフェニキアの祭司の娘で、異国の女がアハブのもとへ嫁いできたという事情である。フェニキアの国は、バアル神信仰だ。イスラエル側は、こんな女をなぜプリンセスとして受け入れたのか?当時イスラエルは、ダマスコを首都とするアラムの脅威にさらされ、フェニキアと同盟関係を結ぶ必要性を感じていた。イスラエルにとり、こうした政略結婚は、一応、戦略的、政治的、軍事的には成功したと言ってよいだろう。だがそこには、サタンの罠が介在していた。フェニキアの祭司の娘イゼベルが、とんでもない嫁入り道具を、バアル神礼拝をイスラエルに持ち込んだ。人間は目に見えるものに頼りやすい。試練や脅威にさらされた時は、なおさらである。〝眼を閉じよ。そうしたら見えるであろう〟。アラムの脅威にさらされたイスラエルが、眼を見開いて見たのが、フェニキアとの軍事同盟だった。そして詐欺というものは、簡単な仕掛けの方が成功しやすいと言われ、(試練や脅威にさらされたとき、眼に見えるものに頼りなさい)、詐欺師サタンの常套手段である。

カテゴリー: 礼拝メッセージ

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