2023年11月5日 聖協団目黒教会 牧師 都丸道宣
「信仰の進化と深化」創世記23章10-20節
現地の人々に後押しされる形で、土地の持ち主ヘフロンにアブラハムは交渉を始めます。一見快く譲ってくれる雰囲気ですが、「ただで譲りましょう」というところから交渉を始める、ということがこの地域には習慣としてあったらしい。値段を言ってほしい、というアブラハムに400シェケル(一日の賃金を一万円とすると1200万円)の値を求めているところから、ただで譲る気はなかったことが伝わってきます。
アブラハムはその値でいい、と即答します。交渉すれば半値ほど値切れると言われるこの交渉を即決して打ち切っています。
イスラエルの国の土地もシオニズムが始まって以来このように手に入れられていきました。土地の価値のほとんどないところを言い値で買いました。最初に国として当てられたイスラエルの北側の地域の大半は湿地、南は砂漠という住むには全く適さない土地でしたが、快諾して受け取ります。
ここで交渉を始めるというのはときに遺恨を残します。どこまでが売った土地だったかねぇ、半値ならあなたには半分しか売ってない。あぁ、安値で売った分損したんじゃないか、など後々まで文句をつける余地を残しかねません。
現在のイスラエルと隣国との争いにもそのようないちゃもんがふっかけられています。イスラエルが正当に土地を購入し、国際的に国として認められても、何もないところから土地や国や民への不平が盛り上がってきます。そこには霊的な戦いがあり、祈りと信仰が必要とされるのですが、アブラハムの即決にはその霊的戦いを見据えた意思が見られるのです。
それでも争いは起こってしまいますが、そこに集まった人々には証となっています。交渉することなく、手に入れた場所。アブラハムの所有となった初めての場所。イスラエルが始まった場所。墓地として与えられた地からいのちがはじまったのです。祈りと賛美の起点となる場所です。
アブラハムの信仰とは状況に応じて進化してきたと言えます。大きな買い物では交渉しない方がいいということではなく、本当に必要なものを手に入れようとするとき妥協を一切しない形を取りました。イスラエルが1948年に得た最初の土地には多くの問題がありましたが、入植し、開拓して、いのちが得られていきました。
アブラハムが購入した土地はこの地に入って初めて神が語りかけられた思い出の地でもあります。サラと共に信仰を育んだ地でもあります。深い信仰が育まれ土地の購入の即決へと結びつきました。
日々の姿勢が大きな決断へと結びつきます。育まれた信仰が新しい地、新しい環境でのチャレンジの保証となっていくのです。
まだ得たことのない、遠くにある神の約束を喜んでいるか、と問われています。

カテゴリー: 礼拝メッセージ

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