2018年3月4日
「御国に酔う者」 マタイ13:44~46
基督聖協団目黒教会 牧師 横山聖司
神が創造した大地は、豊かな水に恵まれ、草木が生い茂り、動物たちがたわむれ、のどかな楽園となった。楽園の真ん中には、善悪を知る木が生えていて、「決して食べてはならない」と命じられていた。蛇は妻のエバをそそのかし、実をとって食べさせてしまう。アダムにも食べさせる。「パンドラの箱」の話がある。開いた瞬間、恐ろしい化け物が飛び出し、地球を汚染した、あのギリシャ神話である。「パンドラの箱」のイメージを拝借すれば、禁断の木の実を食べた瞬間、木から熟した果実が次々と大地に落下した。病気という果実、災害、戦争、悪意の実、征服欲、エゴイズム、無慈悲、無知…などなど、この世にありとあらゆる災害をもたらす諸悪の根源であって、これ以後、人類が様々な災難に見舞われるようになったのも、このアダムとエバの失敗、原罪のせいだと聖書は言う。諸悪の根源は、すでにみんな地上に降り注いだあとだったが、木の枝にわずかに〝福音〟と呼ばれる〝希望〟だけが残った。
「神である主は蛇に仰せられた。『おまえが、こんな事をしたので…わたしは、おまえと女との間に、また、おまえの子孫と女の子孫との間に、敵意を置く。彼は、おまえの頭を踏み砕き、おまえは、彼のかかとにかみつく。』」(創世記3:14~15)。
「女の子孫」はイエス・キリストを指し示すと言われ、蛇の子孫(サタン)がキリストのかかとにかみつき、イエスを十字架につけて殺してしまう。だが、イエスは復活し、サタンの頭を踏み砕くであろう。これが聖書に現わされた最初の福音、「原福音」と呼ばれる希望のメッセージである。
「天の御国は、畑に隠された宝のようなものです。人はその宝を見つけると、それを隠しておいて、大喜びで帰り、持ち物を全部売り払ってその畑を買います」(マタイ13:44)。
イエスは、御国に酔える人、御国に心を奪われたお方であった。「〝楽園の回復〟これを手にするため、あらゆるものを手放しても惜しくはないぞ。地上の宝に惑わされるな」と、イエスは訴える。
イエスは御国に酔っておられる。酔いしれておられる。「…持ち物を全部売り払ってそれを買ってしまいます」(マタイ13:46)。

カテゴリー: 礼拝メッセージ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です